千年前 1話~4話

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第2話 死人は動かない 「おっちゃん…?」 鬼ーが良庵の体を揺すったが良庵がおきることはなかった… 「おっちゃん…おっちゃん!!」 ……………… 「聞いたか?志村んとこの鬼のガキ捕まったらしいぜ…」 「ああ…しかもその鬼の子供を守るために銃で撃たれて死んだそうだ…」 「まぁ…なんにせよ鬼のガキが捕まったってことはこの村も安泰だな」 「ああ…違いねぇ…」 鬼ーが捕まり良庵が死んでから1ヶ月がたった 村でもこの事実は瞬く間に広がっていった そして今まさに鬼ーの運命が決まろうとしていた 「罪人は前へ」 ズッ…ズッ… 鬼ーは捕まってから体重は5キロもおちた 「これより罪人真田鬼ーの裁判を行いたいと思います」 この時代の裁判とはいたってシンプルである 裁判官五人と裁判長の六人で行う 普通だったら弁護人が付くのだが鬼ーは特例で弁護人はついていない つまり鬼ーの運命は一方的に決まってしまうのである 「では…どうしますか?」 「こんなの協議する必要がない…死刑だ」 つづいて裁判官も賛成した 「私も賛成です」 「まっ…待ってください!」 「?」 一人の若い裁判官が割って入った 「彼は特に悪いことをした訳でもないのに簡単に死刑にするのはどうかと…」 「…これだから若いのは…」 「え?」 「真田鬼ーは鬼の子だ、ただそれだけでヤツは罪人なんだよ」 「たとえ悪い鬼でなくとも鬼の血は絶たねばならぬのだ」 「っ…」 若い裁判官は黙った 「君は今から50年前の火の海を知っているか?」 「火の…海…?」
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