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祖母は、庭を育てていた。
幾重にも花壇や鉢が並び、季節の花を咲かせていた。
球根や苗を季節毎に丁寧に植え、草をむしり、水をかけた。
特に小さな白い花が好きだった祖母は、百合、水仙、鈴蘭が咲き誇る時期は、楽しそうに縁側に出ていた。
小さな私は、いい匂いのする庭と、それを楽しそうに眺める祖母が大好きだった。
祖父は、木登りを教えてくれた。
広大な庭には、祖母の花を以てしても余りある広さで、生け垣に沿うように立派な木々があった。
そこで、初めて登った木は、祖父の書斎から見える木だった。
普段は入ることの憚られる、その書斎の肘掛け椅子に座る祖父に褒めてほしくて、木にしがみついたまま祖父に手を降った。
もちろん、そのままつるりと滑り落ち、足に擦り傷を作った私を、祖父は大いに笑った。
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