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濱田家の前から真っ直ぐ伸びた道は、最後の数メートルがカーブし、坂になっている。
この道は、こんなに細かっただろうか。
この坂は、こんなに緩やかだったろうか。
どうして、涙が込み上げるのだろう。
どうして、思い出ばかり溢れてくるのだろう。
分かち合いたい人達は皆、既に私の傍にはいない。
それでも目を閉じれば、遥かに霞む、家族の風景。
あの坂を上れば。
今も私の家がある。
久しぶりの故郷の坂は、優しく冬の朝日を浴び、私を迎えてくれた。
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