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小さい私の視線に合わせるように、祖母は腰を屈めてくれた。
そして、目を細めて、その皺のよった分厚い手のひらで、私の髪を撫でてくれた。
ーーーその姿が、目の前の細い貝殻の道に漂っている。
一歩、また一歩、その二人に近付く。
足の下では、しゃりしゃりと、踏むたびに小さくなる貝殻。
“私の鈴”が鳴る。
笑い合う二人に並んだ時、ふっと二人が消えた。
顔を上げると、勝手口が見えた。
一段階段が備え付けられていて、そこに上がり、把手を握る。
後ろを振り返ると、祖母と私が手を繋いでいた。
「何、話してたんだっけ。」
二人が外門へ消えていくまで、私は後ろ姿を見つめていた。
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