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自称ルポライターの笹岡は、ボストンバックをダブルベッドの脇に投げ出すと、窓際の椅子に座った。
高層ビルの中にあるTホテルはフロントが10階にあり、客室は11階からだった。
ここに泊まりに来たのは、取材のためだった。
最近、ネットで広がり始めた都市伝説『Tホテル1304号室の怪』検証が、今回の彼の仕事だった。
依頼してきた雑誌は三流オカルト雑誌だったが、しがない三流ルポライターに仕事の選り好みをしていられる経済的余裕はなかった。
笹岡は、ため息を一つつくと、部屋の中を調べ始めた。
置物、絵の裏、すべての引き出し、浴室の換気孔に至るまで、見られるところは見、動かせるものはすべて動かした。
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