215人が本棚に入れています
本棚に追加
『この世に残ったのは、あの人と愛し合ったこのベッドのマットレスに挟まった1本の髪の毛だけ。
でも、私、あの人と仲直りしたいのよ。
本当は優しい人なの。私、まだあの人を愛しているの。だから、仲直りをしに行くのに体がいるの。
ねえ、あなたも一つ分けて。一つだけ。あと一つだけでいいの。
そしたら私、会いに行ける。仲直りしに行けるの。』
何かが笹岡の背中側からずぶりとめり込んだ。
ずぶり ごり ぐじゅ
体の中で、何かが彼の一部を握りしめ引きずり出す。
「わああああああああ!!」
絶叫した彼は、いつの間にか飛び起きていた。
急いでバッグを持って部屋を飛び出す。
この部屋は危険だーーー
この部屋にいてはいけないーーー
.
最初のコメントを投稿しよう!