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彼は、自分を取り巻く人々の声も遠くから聞こえてくる救急車のサイレンも、聞くことがなかった。
彼の心臓は、永遠に沈黙した。
ホテルでは、無人になった1304号室のドアが音もなく開き、同じように閉まった。
気配だけが、深夜の廊下を移動していく。
『ようやく体が全部揃った。
あなた・・・今会いに行くわ・・・喧嘩をしてごめんなさい。
謝るから・・・
仲直りしましょうねぇ。』
廊下の電球が
割れた。
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