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小さな遊園地。
昔、一回だけ来た事がある。
母親が病弱だったから、父親と二人きりで来た。
だけど、父親は見ているだけで一人で乗り物に乗ったっけ。
あんまり楽しくなかった記憶がある。
ジェットコースターも観覧車も一人ぼっちだったから。
「あれ乗りたい」
先輩はジェットコースターを指差した。
和美たちの姿は見えない。
「二人で行動するんですか?」
列に並んでから聞いてみた。
「邪魔しちゃ悪いだろ」
その答えに納得する。
でも、これだと私と先輩が付き合ってるみたいだよね・・・
たぶん大丈夫だと思うけど、知り合いとかにばれたら困るよね。
少し離れて行動しよう。
邪魔しない程度で四人で行動したいんだけど・・・無理かな。
「何お経唱えてんだよ」
思ったことを口に出していたようだ。
「怖いんだ?」
先輩がニヤニヤしている。
「怖くないです!」
先輩に強がりを言う。
本当は怖いけど、先輩にこれ以上バカにされたくないし。
口から心臓が飛び出そうなくらいドキドキしているのを隠しながら順番を待っていた。
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