先生

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声が出なくてただ聞いていることしか出来ない。 「ごめんな・・・本当にごめん」 先生も泣いている。 先生は悪くなかったんだ。 それが分かっただけで十分だ。 「両親の事も・・・悪かった」 「・・・うん」 ずっと知りたかったことを聞けて良かった。 話が出来てよかった。 「今度会いに行く。 会って話がしたい」 「・・・うん」 携帯番号を聞かれ、途切れ途切れに伝えた。 そしてその後で、先生が言った。 「順一、死んだから」 びっくりして携帯を落としそうになった。 「あの頃から薬に手を出してたみたいで、自殺したんだ。 だから、もう怖がらないでいいから」 そうなんだ。 もう、怖がらないで良いんだ。 私は安心してその場に座り込んだ。
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