1095人が本棚に入れています
本棚に追加
にらみ合いが終わらず、私はどうでも良くなった。
座っていても痛い。
「和美、バッグ持ってきてくれてありがとう」
手を出すと、和美がようやく我に返ってバッグを渡してくれた。
「もう横になりたい・・・一人で帰る」
「一人で帰れるの?」
「帰れたら帰ってる」
投げやりに答える。
赤塚先輩が車椅子を持って来てくれた。
「何言っても無駄」
そう言ってため息をついた。
初めての車椅子。
「タクシー乗り場ってどっち?」
「あっち」
先生が来た方向を見て言った。
私は和美達に連れられ、出口まで行く。
「車椅子作った人に感謝だよ」
椅子が動くって凄い。
「ゆめちゃん、光輝が行かなきゃやばかったんだよ?
分かってる?」
赤塚先輩が言った。
「私もそう思います」
「なんで黙ってたの?」
和美も怒ってる。
先生が私たちを追い越して歩いていくのが分かった。
せっかく来てくれたのに・・・やっと会えたのに。
悲しくなった。
最初のコメントを投稿しよう!