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「安全運転でお願いします」
私が言うと、当たり前だと先生が返してきた。
「何処に行けばいい?」
先生が車を出しながら聞く。
無言の三人。
「学校の近くのボロアパート」
「夢叶に聞いてない」
名前を呼ばれて心臓が跳ねる。
「ゆめ、知り合いだったの?」
和美がびっくりする。
なぜ、ここでいつもの想像をしてこなかったのか。
私のほうがびっくりだよ。
「裕太と和美ちゃんはどこまで送ればいい?」
高村先輩がやっと口を開く。
「駅で・・・って言いたいけど、光輝と一緒に下りる。
喧嘩勃発したら困る」
赤塚先輩は本当に良い人だ。
「俺からは手は出さないから安心しろ」
先生の運転する姿を見ていた。
一つ一つの動作までカッコいい。
「じゃあ、駅で」
高村先輩が言った。
「喧嘩になって困んのはゆめちゃんなんだぞ」
赤塚先輩が言った。
「分かってる。
大丈夫だって」
浮かない顔のまま、赤塚先輩は黙った。
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