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「着替え持ってくるから座って待ってて」
そう言い残し出て行く先輩を見送る。
先生と二人きりになり、心拍数が上がる。
帽子を脱いだ先生は、他の人とは違うオーラがある。
私には眩しすぎて、直視なんて出来ない。
先生に支えられてソファーに座る。
隣に座った先生は、一回大きく息を吐いた。
たぶん、かなりのお疲れモードなんだろう。
なのに、こんなことになってるし。
「体どうした?」
先生が聞いてくる。
先生の視線は私に向いているのは気付いている。
だけど、私の視線は前を向いたまま。
目を合わせられない。
心臓が破裂してしまうかもしれないから。
「上級生に・・・ちょっと・・・」
「なるほどね」
先生はそう言った。
「先生、ボーカルなんですか?
ギターをやってるって思ってました」
「そっか」
「私、芸能関係とか全然知らなくて・・・だから、すみません」
「いや。
それより、なんで目を合わせないんだよ」
やっぱり気付いてますよね。
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