間違い

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「この前の電話でしょ。 翔が長電話っておかしいと思ったんだよね、最低」 上級生を思い出す。 私、また同じ目にあうのかな。 「美幸やめろ」 先生が言う。 「なによ、この子の肩持っちゃって。 何言ったの? 翔に何したのよ」 「なにも・・・」 その瞬間、美幸さんの平手が頬にクリンヒットした。 痛いよりも怖い方が上回った。 とっさに目をきつく瞑った。 お願いだから早く終わって。 そう思って手も強く握り締めた。 しかし聞こえたのはパチンという音で、痛みは感じない。 恐る恐る目を開ける。 「お前何考えてんの?」 先生がキレていて、美幸さんが頬を押さえていた。 先生が美幸さんを叩いたんだ。 「俺、別れたはずだけど。 こいつがお前になにしたか言ってみろよ」 美幸さんの目から涙が溢れている。 好きな人にこんなことされて、泣かない人はいないよね。 美幸さんが可哀想。 ただ、先生の事が好きすぎるだけなんだ。 きっと上級生の二人もそうだったんだと思う。 好きな人が誰かと居るのを見るのは辛いもん。 ただ、やり方が違っただけ。 それだけなんだ。
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