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「何泣いてんだよ」
先生の声が聞こえて、イヤホンを取る。
「翔也先生・・・」
バラードの歌詞が、昔の私とかぶってる。
歌で泣くのは初めてで、自分がびっくり。
「うわ、泣いてるし」
露天風呂から上がって来た二人にバレる。
二人の視線は先生に向けられた。
「俺のせいだと思ってる?」
先生が二人に聞き、頷く赤塚先輩。
「俺のせいなのか?」
先生の独り言。
「戦闘不能なので返します」
「俺は戦ってた覚えないぞ」
そう言って電源を切ってバッグに入れる。
「俺、翔さんの曲好きですよ」
高村先輩が言った。
「だけど、昔の曲の方が好きでした。
堅苦しい曲より、生き生きしてる曲の方が翔さんらしいです」
先輩が真剣な眼差しで先生を見る。
私には分からないことを、サラッと言う先輩が凄い。
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