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「やっぱり、温泉も、美味しいご飯も、この時間も幸せだもん、今が良い」
「先輩は?」
「俺も今が良い」
和美と付き合えたもんね。
「ね、自分のために書いてみたら?」
先生にスランプ脱出の提案をしてみる。
「誰かのためじゃなくて、自分の為に思ってることを、そのまま書いちゃうの」
「それで?」
「作品を表に出さないようにすれば、余計なこと考えないで良いと思う」
「なんの意味があるんだよ」
「作り終わって自信に繋がるか、そのまま落ちるかは自分次第だと思う」
「なるほど」
赤塚先輩が言った。
「私には才能とか無いけど、先輩はスランプみたいなの無かったですか?」
「スランプか・・・いつも自分の思い通りにいってないよ」
「そうなの?」
「だから、毎日人より練習はしてると思う。
上手くいくとかより、自分の満足度の問題。
あれだけやってダメなら、俺の力はそれだけで、もっと努力しなきゃって」
「そうなんだ・・・」
「バスケ好きだし、最後の試合くらいはカッコ良く去りたいじゃん」
そんなに何かに打ち込めるって、私にとって凄くて、羨ましい事。
なんだか、先輩がキラキラして見えた。
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