悩み

13/14
前へ
/988ページ
次へ
「やっぱり、温泉も、美味しいご飯も、この時間も幸せだもん、今が良い」 「先輩は?」 「俺も今が良い」 和美と付き合えたもんね。 「ね、自分のために書いてみたら?」 先生にスランプ脱出の提案をしてみる。 「誰かのためじゃなくて、自分の為に思ってることを、そのまま書いちゃうの」 「それで?」 「作品を表に出さないようにすれば、余計なこと考えないで良いと思う」 「なんの意味があるんだよ」 「作り終わって自信に繋がるか、そのまま落ちるかは自分次第だと思う」 「なるほど」 赤塚先輩が言った。 「私には才能とか無いけど、先輩はスランプみたいなの無かったですか?」 「スランプか・・・いつも自分の思い通りにいってないよ」 「そうなの?」 「だから、毎日人より練習はしてると思う。 上手くいくとかより、自分の満足度の問題。 あれだけやってダメなら、俺の力はそれだけで、もっと努力しなきゃって」 「そうなんだ・・・」 「バスケ好きだし、最後の試合くらいはカッコ良く去りたいじゃん」 そんなに何かに打ち込めるって、私にとって凄くて、羨ましい事。 なんだか、先輩がキラキラして見えた。
/988ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1095人が本棚に入れています
本棚に追加