鈍感

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現実逃避をすぐにするのは、私の悪いところ。 今日は絶対に寝ないと決めた。 先生に事情を説明しないといけないし、先輩も心配だ。 シートを少し倒し、思い出す。 「あ!!携帯・・・」 先輩のポケットの中じゃん。 先生に言うと、諦めろと冷たく言われた。 この角度だと、先生の運転しているところがよく見れる。 先生の長くて綺麗な指がたまらなく好きだ。 仕草や手つきをボーっとみていた。 「あのさ」 先生の声がして、手から視線を外す。 先生は私を見ていたみたいで目が合った。 「どこ見てんの?」 信号待ちだと分かった。 「先生の手、良いなって思って」 「手か?」 先生はグーパーと手を動かして言った。 「俺、あんまり好きじゃないけど」 信号が青になると、進み出す。 先生が羨ましい。 良い所がいっぱいある。 自分じゃ気付かないのかな。 それとも、そう見えるのは私だけなのだろうか。 好きな人を見ているから、全てが良く見えるのか・・・?
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