大嫌い

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「何にも知らないんだ」 リーダーさんが言った。 「・・・勉強しときます」 「順一以外は興味ない? それとも、順一の代わりが翔?」 順一という名前。 ドクッと心臓が跳ねた。 再び蘇る、嫌な光景。 なんで、この人が知ってるの? どこまで知ってるの? 私は視線を上げられない。 皆に言われてしまったら・・・ 心臓が誰かに掴まれたように痛みだした。 左手を右手で強く握る。 そして、自分を保つ為に左手に爪を立てる。 痛みで気を紛らわそうと、強く、強く・・・ それを阻止するように、先生の手が私の右手を握る。 「その名前、ここで必要? 夢叶と関係無いよな」 先生の声が、少し低い。 私をかばってくれてるんだ。 張り詰めた空気。 私の手を握る先生の手が、さっきより強くなった。
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