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「先輩も・・」
「俺は嫌だよ」
私の言葉をさえぎる。
「あんた、十分に苦しんできたんじゃないの?
別に過去は過去だろ」
先輩は、いつも何かあると支えてくれる。
そして温かい。
止まったはずの涙が再びこぼれる。
「こんな小さい体でいろんな事抱え込んで、頑張ってんじゃん。
すげえよ」
先輩の手が私の頭に伸びて、髪の毛を撫でられる。
「今まで貯めてきた分、全部出したら楽になる」
先輩の魔法がかかったみたいに、涙が止めどなく流れる。
涙は枯れることはないのかな。
全然止まらない。
下を向いたまま、声を殺して泣くしかできなかった。
ジーンズに出来たシミが、どんどん大きくなっていく。
いきなり襖が開いた。
バンと勢い良く開いて、バンと閉まる。
誰かが入って来たのが分かった。
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