大嫌い

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ドスドスという足音が近づいてくる。 「ねえ」 和美の声。 「・・・ねえ」 再び声をかけられる。 「・・・はい」 そう答えるのが精一杯だった。 「私、桜木和美。 名前教えてよ」 和美が言ったのを聞いて、もっともっと涙が出た。 それは、初めて会った時に言われた台詞。 「これあげるから、友達になって」 私の手には、冷たい缶ジュースが置かれた。 あの時と全く一緒。 「私をナメんな。 友達やめたら、また友達になってやるから。 絶対、友達やめてあげないんだから」 和美が言うから、もう声なんて我慢できない。 和美に抱きついて、声をあげて泣く。 「バカ夢叶!」 和美も一緒に泣いてる。 私は、いろんな人に支えられているって、やっと気付いた。 だから今、こうやって生きているんだって。 そう気付かせてもらえたんだ。
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