家族

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枕元に置いてあった体温計を渡され、熱を計る。 「まだ38度以上熱ある。 お粥頼んでくるから大人しく寝てなさい」 先生はそう言うと出て行った。 再び目を閉じる。 カチカチとパソコンをいじる音がする。 先生が仕事を始めた音。 先生が疲れを取る為の旅行が、逆に先生を疲れさせている。 そんな気がして仕方ない。 早く熱を下げて帰らないと。 しかし、そんな思いとは逆に、熱は下がらなかった。 「この体温計、絶対に壊れてる!!」 体温計に八つ当たり。 「壊れてない!」 「おかしい!!」 「おかしくない」 先生との会話。 もう熱も三日目。 赤塚先輩と和美は帰った。 「私も帰りたい!!」 「バーカ」 勉強中だった高村先輩が口を開く。 先輩だけここに残っている。 「先輩、帰りましょう!!」 「煩いから寝ろ!」 私はいじけて、一人で布団に戻る。
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