家族

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タクシーの予約時間が近くなり、玄関で待つことにした。 「翔さんに説明してから行く。 先に玄関に行ってて」 先輩に言われて、誰とも目を合わさないように廊下に出る。 先生に呼び止められたけど、今はシカトさせてもらう。 お財布と携帯を握りしめて、外に出てタクシーを待つ。 タクシーが来ても先輩が来ない。 一人で行こうかと思っていると、やっと来た。 「遅くなってすいません、駅まで」 その一言でタクシーが動き出す。 「先生待ってたわけじゃないけど」 「そんな冷たいこと言うなよ」 先輩ではなく、先生が乗っている。 「先輩は?」 「あいつらがムカついたから、高村に相手させて来た」 「先輩、可哀想・・」 先生を横目で見る。 「あいつ頭良いから、何とかしてくれる!」 悪びれた様子も見せずに、先生が言った。 それで良いのか・・・先生?
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