家族

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しばらくして、目を赤くした和美が一人で帰ってきた。 そして、私の布団に潜り込む。 「おかえり」 「ただいま」 そう言って和美が泣き出した。 この状態は・・・駄目だったのかもしれない。 「考えさせてほしいって」 和美が言った。 「だったら、まだ望みあるじゃん。 先輩は、真剣に和美の事を考えてくれるんだもん、答えが出るまで待とうよ」 「・・・うん」 「ね、帰ったら一緒に住まない? 帰るの辛いでしょ?」 和美が私の方を向く。 「狭いけど、二人で暮らそうよ。 二人で家族ごっこしようよ。 和美がお姉ちゃんね」 「ゆめ・・・」 「二人でお金貯めて、もう少し大きい所に引っ越すの。 二人なら、頑張れるはず。 これ、プロポーズね」 そう笑って言った。 「ゆめ~~」 大泣きの和美。 よしよしと、頭を撫でてあげる。 そのまま二人で眠りについた。
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