危険人物

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喉の渇きで目が覚めた。 隣には和美が寝ている。 起き上がると、薄暗い部屋に人影が見えた。 壁に寄りかかって座っている赤塚先輩だった。 きっと和美の事を考えているんだろう。 枕元に置いてある水を飲んで、私は口を開いた。 「先輩、和美のこと考えてますか?」 「あ・・・うん」 表情は暗くて見えない。 「別れるとか考えてるなら、和美を私にください」 私はそう言った。 「・・・え?」 「私が和美を守ってあげる。 一緒に住む事になったから」 「・・・意味分かんねえ」 「和美から聞いたでしょ? 帰れる所が無いの。 だから一緒に住もうって言ったの」 「・・・そう」 「先輩、和美がどれだけ辛い思いをしてきたか、分かってあげてほしいです。 好きだから、悩んだ末に先輩に言ったってこと、忘れないで」 「分かってるよ・・・だけど、どうして良いか分からない」 「ただ、和美のそばに居てあげてください。 好きな人が居てくれる心強さって、何よりも大きいから。 それと、和美の事を信じてあげてほしい」 先輩は無言だった。 「私も和美も、頼れる人が居ないの。 だから、いつも不安なの。 和美の元気の源は・・・先輩なんだよ」 先輩には重過ぎるかもしれない。 だけど、 「私を救ってくれたのは和美なの・・・だから、私も和美を救ってあげたいだけなんだ。 先輩、悩ませてごめんなさい」
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