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「救ったって?」
「私を絶望から立ち直らせてくれたんだ。
和美が居なかったら、私はここには居なかった」
「それって・・・」
「私が生きてるのは、和美のおかげなの。
先輩も知ってるでしょ?
私は人殺しだって」
「だったら、和美に近づくな!!」
「うん、分かった。
先輩が和美を守ってくれるんでしょ?
それなら私は和美から離れるよ」
和美が幸せになるなら、私は見守るだけだ。
「和美を泣かせないでください。
いつも笑っていられるように、幸せにしてあげてください」
土下座をする。
先輩から、何の反応がないままだった。
少しして、先生の声がした。
「何やってんだよ」
足音が二つ。
寝るために来たのが分かった。
「私、向こうで寝たいです」
顔を上げて、先生に言った。
布団が一つ足りないから。
「駄目だ!」
私は無意識に左の手に爪を立てていた。
痛みで気持を紛らわせるのが、癖になっているらしい。
仕方なく、和美の隣に横になって目を閉じた。
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