危険人物

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「先輩、ゆめ可愛いでしょ?」 高村先輩に和美が聞いた。 「・・・馬子にも衣裳」 先輩は一瞬見ただけで、すぐに目をそらした。 先輩の反応は予想していた。 軽くあしらわれると思っていたから、その通りで笑えた。 「なに、その反応は!?」 和美がムッとしている。 しかし、すぐに表情が変わった。 「もしかして、照れ隠し? もう、先輩ったら素直じゃないんだから」 和美が、先輩の腕を肘で突く。 「あのなぁ・・・」 何か言おうとした先輩だが、それを阻止した人が居た。 ガタガタと入口の戸が開く。 「ゆめちゃーーん!!!」 そう言いながら入って来たのは、 「くりちゃん!?」 「出た、空気読めない人間!!」 先輩が、あからさまに嫌そうな顔をした。 「うわ、光輝先輩・・・ひでぇ」 先輩のボヤキが聞こえたらしく、肩を落とすくりちゃん。 「なんで来たんだよ」 「あ、そうだ、俺も手伝いに来たんだ。 ライブ見に来た!」 「・・・あっそ」 質問したのに、全く興味がなさそうな先輩。 ちょっとだけ、くりちゃんが可哀想だと思ってしまった。 頑張れくりちゃん!
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