危険人物

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少しして、スーツ姿の二人が入って来た。 一瞬で、ピーンと緊張の空気が張詰めた。 直感で、偉い人というのが分かった。 「翔さんの事務所の副社長と、マネージャーの谷さん」 くりちゃんが紹介してくれた。 「今回は、突然の事で驚いているが、いろいろな宣伝をする意味でライブをやることにした。 10月に発売される新曲は、秋から放送されるドラマの主題歌で、その主役が」 話しをしていた副社長の視線が、くりちゃんの方を見る。 なるほど。 宣伝の意味が分かった。 だから、くりちゃんも来たんだ。 副社長は、淡々と話をしていく。 私たちは、それを聞いているだけ。 みんな、真剣な表情をして、話に耳を傾けた。 その間、すごく視線を感じた。 谷さんの視線。 確実に私を見ていて、何回か目が合った。 すごい威圧感。 大体の理由なんて分かっている。 先生との事。 きっと何かを言われる。 また、良くない事を言われるんだと、バカな私でも分かった。 だって、私を見る目つきが鋭い。 その目に負けて、私の視線がテーブルに移動した。
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