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そうくるのか。
はっきり言うと、私にやらせる仕事は無いと。
邪魔だから、ここに居ろと。
手伝いもさせてもらえないって事ですか。
「大事な仕事だから、汚してほしくない!」
「だったら、旅館に戻る」
「駄目だ。
翔にバレたら困る」
そう言った谷さんの目。
身震いがした。
危機を感じた。
その理由を考える。
あ・・・あの人の目と同じだ。
あの、順一という人と同じ目をしているんだ。
「すいません、ここに居るので、向こうに戻ってもらって良いですか?」
私は目を逸らして言った。
全くの別人なのに、ものすごい恐怖を感じる。
だから、早く離れてほしかった。
私を見ないでほしかった。
「言う事を聞くので、離れてください・・・お願いします」
声が震えているのが、自分でも分かる。
頭の中が、あの人で埋まる前に、どこかに行ってほしかった。
少しして谷さんが居なくなると、ガクガクしていた足の力が抜け、座り込んだ。
怖かった。
手の汗も凄い。
谷さんは私にとって、要注意人物になっていた。
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