危険人物

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二人は、優しくて、面白かった。 だから、時間も自分の状況も忘れて、おしゃべりをしていた。 「楽しそうだな」 恐怖の声が聞こえるまで。 谷さん・・・。 私は視線を上に上げる事ができなかった。 「誰?」 優子さんが聞いてくる。 「マネージャーさん」 「みんな頑張ってくれてるのに、しゃべって楽しんでるとはねぇ」 嫌味。 仕事を与えないのは、あなた達でしょ? 心で思っていても、言葉に出来なかった。 「帰っていいよ」 谷さんが言った。 「バッグ、車の中なんですけど」 「だから? 大人しく家に帰るなら、持って来てやるよ」 「は!? ふざけるのもいい加減にしろって感じ!!」 「行くよ!!」 二人を怒らせたみたいで、私は二人に引っ張られて、その場を後にした。
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