危険人物

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「薬って、どこか悪いの?」 「頭から性格まで、全部悪いです」 「うん、見てて分かる」 「やっぱりですか・・・」 「嘘だって!」 優子さんが笑っている。 「優子さんもですか。 最近、私がいじられキャラだって知りました」 「おめでとう!」 「それって、喜んでいいところですか?」 「うーん、微妙?」 会って2回目なのに、こんなに話せてる自分にびっくりだ。 それはきっと、二人が温かいから。 だから、なんだか居心地が良かった。 部屋に帰ると、奈美さんが慌てて言った。 「ヤバイ、ヤバイよ!!」 「・・・なんですか?」 「翔さん、キレてる」 なぜ先生の名前が出たのか不思議に思った。 奈美さんの慌てぶりで、先生の怒りの度合いが分かる。 「ここに居る事、誰も知らないから大丈夫ですよ。 でも、なんで分かったんですか?」 奈美さんの話によると、高村先輩からの着信が凄かったから、出たんだって。 それで、腹が立って切ったらしい。 だけど、まだ着信が続くから、キレた状態で電話に出たら、先生だった。 「・・・なるほど」 やっと納得。 「なに納得してんの? 翔さんキレたらどうなるか分かってるの?」 優子さんも焦っている。 そんなの分からない。 だけど、なんとかなると思う。 私は、谷さんが居るところに帰るつもりはない。 「薬が無いと困るから、電話してみる。 迷惑はかけないし、おかしな事に巻き込むつもりも無いので、安心してください」 そう言った。 心配する二人をよそに、私は先生に電話をする。
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