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私の背後で、戸が開く音がした。
誰かが入ってくる気配と、戸が閉まる音がする。
「ちょっっ!?」
奈美さんの声で、心臓が飛び跳ねた。
良くないことが頭を過ぎる。
「あ、俺は怪しいもんじゃないです」
と、優しい声がした。
その声が本物か、恐る恐る確かめてみる。
「・・・先輩ぃ・・・」
私の目から涙がこぼれた。
谷さんかと思った。
「泣いてるし」
先輩がしゃがんだ。
「もう・・・いきなり入ってくるし、怖かったんだから・・・。
先輩のバカ、アホ、マヌケ~」
私は悪口を言いながら泣いた。
先輩は笑いながら、
「そこまで言うか?
ごめん、ごめん」
と、私の頭をポンポンと軽く叩いた。
「う~~~」
私の涙は止めどなく流れた。
「二人のおかげで助かりました。
ありがとうございます」
奈美さん達にお礼を言う先輩。
「ヤバイ、年下なのにときめいた!」
奈美さんが言った。
「翔さんの言う通りかも・・・」
優子さんも先輩の笑顔にやられたらしい。
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