12/28
前へ
/988ページ
次へ
待っても先輩は戻って来ない。 私は気合を入れて、勇気を出して外に出てみた。 「え!?」 先輩が尻もちをついていて、翔さんが倒れている谷さんに跨っている。 しかも、谷さんの胸倉を掴んでいた。 危険!!! 私は急いで、暴れる翔さんを谷さんから引きはがした。 「何やってんの? こんなところで喧嘩したら、警察呼ばれるでしょ!?」 翔さんを叱る。 「どけ!!」 目がマジだ。 よく見ると、先輩の口元から血が出ていた。 怖いけど、谷さんを見てみると、もっと酷い顔。 私の中の何かが切れる音がした。 やって良い事と、悪い事がある。 翔さんの頬をおもいきり叩いた。 「おい!!」 先輩がびっくりした声を出した。 睨んだ翔さんの目が私を見る。 「夢叶ちゃん」 心配そうな奈美さんの声が聞こえる。 「もう、いい加減にして!」 私は吐き捨てるように言った。 「お前には関係ない!!」 「ある!!」 「いいからどけよ!」 「どいてもいいよ。 私が動けなくなるまで、この二人にしたみたいにしたら、どいてあげる」 「は?」 「どいてほしいなら、私のことも殴り倒せって言ってるの!! ご自由にどうぞ!」 私は翔さんの前に立って、睨み返した。
/988ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1095人が本棚に入れています
本棚に追加