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先輩は、谷さんを車に乗せる。 運転席じゃなく、助手席に乗せた先輩。 「運転はしないほうが良いと思う」 先生にそう告げる先輩。 先輩の口の横が痛痛しい。 ハンカチを渡す。 しかし、先輩は受取ろうとしない。 「いいから、使えって言ってるの!」 私が強く言うと、ようやく先輩が受取ってくれた。 先生に電話をさせる。 メンバーの二人に車で迎えに来てもらい、車三台で帰ることにした方が良いと思ったから。 「旅館に帰っても、暴れたら駄目だからね!」 先生に忠告する。 「あんたは帰らないの?」 先輩が聞いてくる。 「帰りたくないよ・・・副社長さんとメンバーさんは、私のせいにする気がするし。 卑怯だけど、逃げとく」 「じゃあ、向こうで何かあったら、誰がどうすんの?」 先輩が言った。 「うーん」 悩む。 「裕太とか、他の人に被害がでるかもよ? 俺の力じゃ、なんともできないからな」 先生は、先輩よりも強いんだ。 今は、こんなに大人しいのに・・・ 先生を見上げる。 不機嫌というか、ふてくされてるというか。 私と目を合わさない先生。 私はため息を一つ吐いた。
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