16/28
前へ
/988ページ
次へ
私は思い出した。 奈美さんの家の戸が気になる。 大きな音がしたし、壊れていないか心配になって隅々まで見てみる。 「良かった、壊れてない」 一安心して、奈美さん達を見た。 私と目を合わせてくれない。 チクッと心が痛んだ。 こんなことになって、嫌われちゃったようだ。 「・・・すいませんでした」 私はこんな事に巻き込んでしまったことを謝った。 そして、旅館に戻るという選択肢しかない事を知った。 仕方ない・・・嫌だけど旅館に戻ろう。 さすがに野宿は嫌だ。 とにかく、体が重いから、ゆっくりしたい。 再び先生と先輩に近づいた。 さっきから思っていたけど、 「何でジッと見てるんですか?」 先輩の視線がすごく気になる。 「あんたさ」 先輩が言う。 「何?」 「最強だな」 「・・・は?」 先輩の言う、最強の意味が分からない。 「俺は翔さんに勝てない。 でも、翔さんは、あんたに勝てない」 「・・・・」 「つまり、あんたは俺より強いことになる」 そういうことか。
/988ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1095人が本棚に入れています
本棚に追加