事実

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先生が戻ってくると、私の隣に座った。 「これ、チケットね。 俺のおごりだから、楽しんでね」 先生が二人に渡す。 「おごり?」 奈美さんが言った。 「そう、夢叶が世話になったみたいだし、お礼ね。 あと、俺も迷惑かけたし」 「いや、別に気にしてないし。 こんな所に呼んでもらって、逆に悪い気がします」 優子さんが言った。 「では、ここの食事会についてのレポートを明日までに書いて来てください。 お仕事のお手伝いしてください」 「それ、ゆめの仕事だったよね?」 和美が聞いてきた。 「今だと、もれなく悪口いっぱいのレポートが出来ると思います」 「駄目じゃん」 和美が笑う。 「誰の悪口?」 先生の質問に、笑顔で返事をする。 「頼むからやめて」 先生が笑いながら言った。 「翔さん、ゆめを元に戻してよ」 和美が言った。 「私に対する、ご意見ご要望は店頭に備え付けの・・」 「分かった!」 和美が私を止める。 その瞬間、赤塚先輩が笑った。 久しぶりの笑顔を見たかも。
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