契約

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耳を押さえたくなるくらいの歓声や悲鳴が聞こえる。 客席のみんなが、メンバーさん達の登場を心待ちにしているんだ。 私は、谷さんに言われ、ホールに出る。 和美や赤塚先輩が、客席の近くに立っていた。 「お疲れ!」 和美が大きな声で言った。 「いよいよだね」 和美が頷いた。 ドキドキしすぎて、心臓が壊れそう。 私は両手を心臓に当てて、深呼吸をした。 黒い幕が張ってあり、ステージは暗い。 そこを、ライトが照らし始めると、歓声が一段と大きくなる。 キュイーーーン ギターの音が響き、次の瞬間、幕が落ちた。 キャーーーー!!! もの凄い悲鳴。 ステージには4人が立っている。 「シークレットライブにようこそー!! 今日は盛り上がっていくぞー!!」 先生の言葉で、ライブが始まる。 リハーサルとは違う、本物の迫力というものに、圧倒された。 会場全体が揺れる感じ。 私はステージの上の4人を、瞬きを忘れて見ていた。
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