契約

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全身に伝わるドラムの振動。 キレの良いギター。 テンポの良いベース。 そして、耳について離れない、先生のボーカル。 ここに居るのは、私の知っている先生達じゃない。 違う次元にいる人達で、凄く距離を感じる。 これが本当の先生達の姿なんだって、やっと気付いた。 3曲くらい歌うと、音楽が止まる。 先生が話しを始める。 これが、圭太さんが言っていたMCというやつだ。 「今回、突然決まった、このライブに集まってくれたみんな、ありがとう」 先生は、みんなにお礼を伝える。 すると、客席からも、ありがとうと声が返ってくる。 みんな、シークレットライブをしてくれて、喜んでいるんだね。 「でもね、無料にできなかったのは、ごめんね」 先生が可愛く言った。 「その分、絶対に来て良かったって思えるライブにするから、覚悟しとけよ!!」 宣戦布告。 みんなは凄く盛り上がってる。 私は客席を見渡す。 みんなニコニコしていて、目を輝かせている。 幸せそうな顔がいっぱいあった。
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