あなたとなら

契約

メンバーさんとくりちゃんの５人を並ばせて、しゃがんでもらう。

そして、何枚か写真を撮る先輩。

先生達を移動させ、客席だけを撮ったり、いろんな角度から撮影をしていた。

満足した先輩は、客席に深くお辞儀をした後ステージから居なくなった。

「素人には見えないでしょ？

普通の高校生なんだよ」

と、先生が言う。

信じられないというように、客席から、えーっ！という声がした。

「よし、じゃあ最後の追い込みいくぜぃ」

先生が言って、アンコールがスタートした。

高村先輩が近くの扉から入ってくる。

「翔さんから伝言なんだけど」

先輩が私の耳元で言った。

「終わったら、スタッフのみんなで集合写真撮るから、昨日の二人にも声かけろって」

「奈美さんと優子さん？」

「曲の間にでも伝えて」

「先輩言ってきてよ。

カメラマンでしょ」

先輩は嫌だと拒否した。

「客席の前に行く勇気ないんだけど」

私が先輩に言っても、嫌だと返された。

「カメラ渡すから、下からステージの撮影してくれば？」

先輩の提案。

「・・・そうしてみる」

私は先輩からカメラをもらい、客席のファンの邪魔にならないように、小さくなりながら移動した。