契約

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近くの扉から、楽屋に向かう。 本物のスタッフの全員が、笑顔で迎えてくれた。 副社長さんが、私達の前に立ちはだかった。 「君たちのおかげで、大成功に終わったよ! ありがとう!!」 私達一人一人に握手を求めてくる。 満面の笑みの副社長さん。 一番最後に握手をする私。 なかなか握った手を離してくれない。 私は、不思議に思って副社長さんを見上げると、 「ちょっと来てほしい」 そう言われた。 「・・・はい」 すごく不安。 何を言われるのだろう。 今は笑顔だけど、他の場所に行ったら、いきなり角が生えてこないよね? 私は楽屋と逆の方向に連れて行かれた。 密室に副社長さんと二人きり。 気まずい空気に包まれる。 ソファーに座る副社長さんの前に、私も座った。 テーブルを挟んだだけの、近い距離。 私を見る視線を痛いくらいに感じた。
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