契約

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「立花さんに、お願いがあるんだ」 沈黙を破ったのは、副社長さんだった。 笑顔はもう無い。 真剣な表情だった。 私は、返事を返さず、次の言葉を待った。 「お互いに、悪い話じゃないと思うんだ」 そう言うと、バッグから白い用紙を2枚出した。 そして、テーブルに置く。 小さな文字が並んでいる紙。 「この・・」 副社長さんが何かを言いかけた時、入口のドアが開いた。 「あ・・・」 先生。 「翔、どうかしたのか?」 「何してんの?」 副社長さんに向かって、タメ口で言う。 「敬語ってものを知らないのか?」 ため息を吐く、副社長さん。 ズカズカ入ってきて、私の隣に座る先生。 そして、テーブルの紙を2枚持って、勝手に見る。 「契約書?」 先生が言った。 「・・・契約書?」 私も紙を覗き込んだ。 確かに、紙の上には契約書の文字があった。 私は、副社長さんの顔を見た。 私は、なんの契約をするのだろう・・・ 不安でいっぱいになった。
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