契約

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「大丈夫、悪いようにはしないし、他の三人にもバイトの話しをするから」 「あ、でも・・・先輩達は、受験生ですよ?」 「受験に失敗したら、私の会社に入社すればいい! スタッフから、俳優、ミュージシャンまで、幅広い仕事が選べる」 副社長さんが言った。 「って事は、東京に住むって事ですよね?」 先輩達と、離れ離れになるって事か・・・ 寂しいな・・・ 「いいじゃん、高村達が東京に来たら、お前も高校を編入すれば。 和美ちゃんと一緒にさ」 先生も簡単に言い切る。 「そんな簡単な事じゃないと思うんだけど!!」 私は先生に言った。 しかし、機嫌の良い先生は笑顔。 「大丈夫だって」 と、私の肩を叩いて立ち上がった。 何が大丈夫なんだろう・・・ なんか、モヤモヤする。 「集合写真行くぞ」 先生に言われて、部屋を出る。 「んーーー」 私はうなる。 なんだか、すっきりしない。 このモヤモヤの原因が分からない。 だから、もっとモヤモヤする。 前を歩く先生が立ち止まったことも気付かず、背中にぶつかる。 「なにしてんだよ・・・」 鼻を押さえる私に、笑いながら先生がつっこんだ。 「ごめんなさい・・・」 「バーカ」 高村先輩の声がする。 それでやっと、みんなと合流したのを知った。
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