契約

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先生に誘導され、ソファーに座らされる。 隣には、先生も座っている。 「これが俺ん家だったら最高なのに・・・」 先生が言った。 「俺、夢叶が居たら、どんな時でも頑張れそうな気がするんだよな」 無言の私に、ゆっくりとした口調で先生が言ってくる。 仕事の辛さとか、全然分からないけど、先生の言葉が嬉しくて、 「・・・うん」 それだけ声に出して言った。 「夢叶、何かあったら、絶対に頼ってこいよな」 先生の言葉。 別れの時が近いことを物語っている。 「うん」 「あんまり無理したらダメだからな」 「うん」 先生は私の頭を優しく撫でる。 止まりそうだった涙が、再び溢れてきて、ますます顔から手を離せなくなった。 「泣き虫」 先生の優しい声。 「うん」 それにも、そう答えるしかなかった。 先生に手は、ずっと私の頭を撫でてくれる。 ライブの後で疲れているはずなのに・・・ 先生の優しさが、私の心を揺さぶった。
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