1095人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺、すごい臆病なんだよね。
今回で、告白しようって決めてたのに、出来なくなった」
先生が話し始めた。
「高村が居なきゃ、話しは別だったんだろうけど。
あいつに勝てる気がしない」
「・・・先輩?」
「そう、あいつには勝てないよ」
先生が、近付けていた顔を遠ざけた。
「距離の違いは大きすぎる」
距離の違い。
住んでいる所が遠すぎるんだ。
「それに、ツアーになれば日本中に行くわけだし。
夢叶が淋しい時も、泣いてる時も、辛い時も、傍に居てやれない」
先生の視線が下を向く。
「高村は、夢叶がどんな時も近くに居れるだろ・・・
それって、俺が不利って事じゃん」
私の心は、そんなにすぐに変わるものなのかな?
私の心の中は、先生でいっぱいで、他に隙間は無いと思っている。
「だから、ライブしてる俺を見てもらいたかった。
少しでも、俺の事を良く見せたくて・・・卑怯だろ?」
先生が言った。
下を向いたまま、私と目を合わさない先生。
私も視線を床に落とした。
最初のコメントを投稿しよう!