契約

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「俺、すごい臆病なんだよね。 今回で、告白しようって決めてたのに、出来なくなった」 先生が話し始めた。 「高村が居なきゃ、話しは別だったんだろうけど。 あいつに勝てる気がしない」 「・・・先輩?」 「そう、あいつには勝てないよ」 先生が、近付けていた顔を遠ざけた。 「距離の違いは大きすぎる」 距離の違い。 住んでいる所が遠すぎるんだ。 「それに、ツアーになれば日本中に行くわけだし。 夢叶が淋しい時も、泣いてる時も、辛い時も、傍に居てやれない」 先生の視線が下を向く。 「高村は、夢叶がどんな時も近くに居れるだろ・・・ それって、俺が不利って事じゃん」 私の心は、そんなにすぐに変わるものなのかな? 私の心の中は、先生でいっぱいで、他に隙間は無いと思っている。 「だから、ライブしてる俺を見てもらいたかった。 少しでも、俺の事を良く見せたくて・・・卑怯だろ?」 先生が言った。 下を向いたまま、私と目を合わさない先生。 私も視線を床に落とした。
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