不意打ち

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部屋に入ると、テレビがついていた。 誰かが消し忘れて行ったのかな? そう思いながら、グラスに水をくみ、薬を飲んだ。 「あれ、もう戻って来たんだ」 その声に反応する。 谷さん・・・。 「あ、はい・・・」 私は谷さんと目を合わさないようにテレビを見る。 「俺の事、嫌いでしょ」 谷さんが聞いてきた。 「普通です」 「そっか」 谷さんは、私から離れたところに座った。 そして、買ってきたと思われる缶ジュースを飲みだした。 「俺と副社長、今日中にここ出るから」 「あ、はい」 「・・・警戒してる?」 「いえ、別にしてないです。 人見知りなんで」 私は淡々と答える。 「そっか」 誰か知らない人が、テレビの中でコントをしている。 「私寝ますんで、気をつけて帰ってください」 そう言って、私は立ち上がった。 「あのさ、聞いていいかな?」 だけど、谷さんが口を開く。 「長くなりますか?」 「・・・答えによっては」 谷さんの答えに、私は再び腰を下ろした。
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