不意打ち

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「栗原、何があったか言ってみろ」 先生が言った。 「なんで、好きな人にキスしたらいけないんですか?」 くりちゃんが言った。 「・・・へ?」 私は、おかしな声を出してしまった。 「俺、一目ぼれだった。 だけど、女だって思われてたのが悔しくて・・・キスした」 そう言えば、好きだって、何回も言われてた事を思い出した。 「そういう好きだったんだ」 友達の好きって事じゃなく、ラブのほうだったんだ。 「夢叶は、その頃から鈍かったんだな」 先生がおもいきり笑い出す。 「遊園地で会った時、結構ショックでかかった」 「ごめんなさい」 「今回は、夢叶が悪かったって事で、高村も許してやれよ」 「・・・」 先輩は無言で、不機嫌な表情。 「分かった、俺がキスしてやるから」 先生が高村先輩の前に行く。 「したら、手が出ますけど」 先輩が先生に言った。 「じゃあ、押さえつけるか?」 「足出ますけど」 先生が笑いながら、 「だったら、機嫌直せよ」 そう言って、元の場所に戻った。 先輩は大きくため息を吐いた。 きっと、私にとって、人生最大のモテ期が到来したんだ。 それは、嬉しいような・・・複雑な気持ちだった。
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