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昨日の事を、和美が話してくれた。
副社長さんが、谷さんを止めてくれて、先生と先輩二人を急いで呼んだ事。
呼吸がおかしくなった私を、人口呼吸して助けてくれた事。
谷さんは副社長さんにかなり殴られていた事。
「私は、裕太に来るなって言われて、呼ばれるまで来れなかったんだ」
そうだったんだ。
私は、本当に危なかったんだ。
って事は、先輩二人と、谷さん、副社長さんが私の過去を知ってるって事になるんだ。
「私の過去が、先輩達に知られたみたい・・・」
私は和美に言った。
「えっ、なんで?」
「谷さん、私の事を襲った人のお兄さんなんだ。
昨日の事も、それが原因」
「それで?」
和美がうつ伏せになって、少し近付いてきた。
「弟は、嘘をいろんな人にばら撒いてたみたいで、その誤解を解く為に先生が言ったんだって」
「翔さん、知ってたの?」
「全部知ってる。
だから、私の事を探してたんだって。
先生は、私がこんな生活をしているのが自分のせいだって、今でも思ってる」
「なんで?」
詳しく話すと、和美は黙りこんだ。
そして、少しして和美が言った。
「翔さん、罪悪感とか責任感とかって感情で、ゆめを好きだって言ってるだけじゃないよね?」
「分かんない」
もう、考える事も嫌になった。
現実逃避したい。
そんな気持ちになった。
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