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「どしたら、谷を許してもらえるか教えてほしい」
社長さんが言った。
許す?
そんな気は全くない。
「谷は、うちの会社にとって、大切な人間なんだ。
だから、許してほしい」
社長さんが言った。
「ご自由に。
谷さんが辞めるとか、辞めないとかは、私が決める事じゃないです」
ただ、顔も見たくないだけ。
ここに一緒に居る事が、私にとって、一番苦痛な事だ。
社長さんが、凄く困った顔をしている。
「すみません、戻っていいですか?」
「大切な話がしたい」
社長さんが言うと、谷さんは立ち上がり、圭太さんと出て行った。
残された3人。
「話とはなんでしょうか?」
私は社長さんに聞いてみた。
副社長さんが、バッグから白い封筒を出し、携帯電話の紙袋と一緒にテーブルの上に置いた。
「受取ってほしい」
社長さんが言った。
携帯は、契約の時に言っていたものだと分かる。
でも、この白い封筒は?
私は封筒を手に取って、中身を確認してみる。
「・・・なんですか・・・これ?」
封筒の中身は、一枚の紙。
分かるのは、¥10、000、000の文字だけ。
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