携帯

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「小切手だよ」 副社長さんが言った。 聞いた事がある。 これを銀行に持って行くと、書かれている金額と交換できるんだっけ? 私はもう一度金額を見てみる。 一、十、百、千・・・ 「一千万?」 思わず、大きな声を出してしまった。 いやいやいや・・・この紙切れが一千万ですか!? 急いでテーブルに置く。 この人達は何を考えているのか。 高校生に、一千万の小切手って・・・。 「谷兄弟のしたこと、詳しく聞いた。 今更遅いと思うが、償いとして受取ってください」 社長さんが、頭を下げた。 「だから、社長さんが悪いわけじゃないです。 このお金も受取れません! 何されても、私の両親は戻ってこないし、祖父母に嫌われてる状態は変わらないですから。 携帯は、契約上の物なので、有難く使わせてもらいます」 携帯の袋を取り、自分の足元に置いた。 副所長さんが、次は茶色い封筒を出した。 次は、分厚い。 私の目の前に置かれた封筒。 次は何が出てくるのだろう。 手に取るのを躊躇う自分が居た。
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