携帯

17/24
前へ
/988ページ
次へ
「話して」 先生が口を開いた。 「少しと全部、どっちがいいですか?」 「全部だ全部!」 先生が言った。 ですよね~。 先生は、私が話すのを静かに聞いていた。 「で、これ渡しておく」 話の終わりに、封筒を先生に渡した。 「・・・なんで?」 「別にお金が欲しいわけじゃないし。 向こう帰ったら、社長さんに返しといて。 あ、先生が使ってもいいよ」 そう言った。 「自分で返せよ」 先生は社長さんが苦手みたい。 「大金は怖い」 「俺も一緒なの!」 先生は封筒を私に返してくる。 「どうするの・・・これ」 「俺に聞くなよ」 「だって、小切手だって一千万だよ? 私、高校生なんですけど」 「一千万!?」 先生が大きな声を出す。 茶色い封筒を見つめる二人。 「先生、いくら欲しい?」 よし、恩返しと名のついた、みんなに配ろう大作戦を決行する事にした。
/988ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1095人が本棚に入れています
本棚に追加