携帯

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部屋に入った瞬間、先輩二人と和美の視線が突き刺さった。 無言の三人。 「・・・どうしたの?」 私は座りながら聞いた。 「ゆめさん」 和美が言った。 「・・・はい?」 なぜ・・・ゆめさん? 「機嫌、直ったの?」 高村先輩が聞いてきた。 「うん」 先生が私の隣に座って、新しい携帯を開け始めた。 「良い携帯だな」 と、先生。 薄ピンクの携帯。 何が良い携帯なのかが分からないから、私は先生の構う携帯を覗きこんだ。 「最近出た携帯だよ」 「ふーん」 全く興味が無い。 電源が入る。 「これがメールで、これが電話帳で、これがアプリで・・・」 先生がいろいろ教えてくれる。 「分かった?」 「・・・たぶん」 「分かってないだろ?」 先生が聞いてくる。 「うん」 「駄目だ・・・。 いいか、もう一回教えるぞ?」 先生は、機械音痴の私に一生懸命使い方を教えてくれた。
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