社長

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「分からない・・・」 「何が分からない?」 思っていた事が口に出ていたらしい。 「え・・・あ、みんな社長さんが苦手みたいなんですけど、私には分からなくて。 普通の優しいお爺さんだし」 そう言うと、目を丸くする社長さん。 次の瞬間、副社長さんが噴出した。 そして、声をあげて笑った。 社長さんも、いきなりガハハと笑い出した。 大笑いの二人に、一同の視線が集まった。 だから・・・なんで笑うのですか? 私はその理由が分からない。 「社長を・・・お爺さんだって」 副社長が笑いながら言う。 相当、ツボだったらしい。 社長さんも、 「いやあ、実に面白い!!」 と、私の肩に手を回してくる。 「あ、あの・・・」 私はこの状態を把握できない。 大笑いの二人に、引きつった笑顔を作った。 「何か食べるか?」 社長さんが聞いてくる。 「いや、自分のがあるんで」 私は肩を組まれている社長さんの手を退けようとする。 「気に入った! さあ、何でも食べなさい!」 「はあ・・・」 逃げられないと悟り、諦めた。
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